春分(しゅんぶん)は「春(はる)のお彼岸(ひがん)」 ~日本のお墓(はか)参(まい)りとは~

仏教(ぶっきょう): Buddhism

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初(はじ)めに:なぜ春分にお墓参りをするの?

こんにちは、ミカです!

例年(れいねん)では、首都圏(しゅとけん)の日中(にっちゅう)の気温(きおん)が20(にじゅう)℃(ど)以上(いじょう)になって暖(あたた)かくなるのは大体(だいたい)「春分」を過(す)ぎてからなのですが、今年(ことし)は既(すで)にとても暖かく、寧(むし)ろ暑(あつ)いぐらいです。

日本には、「暑さ寒(さむ)さも彼岸まで」という言葉(ことば)があります。これは、「夏(なつ)の暑さは秋分(しゅうぶん)まで、冬(ふゆ)の寒さは春分まで続(つづ)く」という意味(いみ)なのですが、「彼岸」とは一体(いったい)何(なん)でしょうか?

「彼岸」とは、仏教(ぶっきょう)における「あの世(よ)」のことです。しかし、「暑さ寒さも彼岸まで」の「彼岸」は春分・秋分のことを表(あらわ)しています。

何故(なぜ)かと言(い)うと、春分や秋分は、仏教思想(しそう)では「俗世(ぞくせ)があの世に最(もっと)も近(ちか)づく日」とされているからなんですね。

その日は、太陽(たいよう)が真(ま)東(ひがし)から昇(のぼ)り、真西(にし)に沈(しず)みます。西には「極楽浄土(ごくらくじょうど)」、つまり幸福(こうふく)に満(み)ちた死後(しご)の世界(せかい)があると信(しん)じられている為(ため)、春分・秋分の日は太陽が極楽浄土と俗世を繋(つな)げてくれると解釈(かいしゃく)されたのです。

そのような理由(りゆう)で、春分や秋分の日とその前後(ぜんご)3日間(みっかかん)を合(あ)わせた1週間(いっしゅうかん)は、日本では「お墓参りをする期間(きかん)」となったのです。

日本のお墓について

日本のお墓の形(かたち)

ところで、皆さんの国(くに)には、お墓参りをする習慣(しゅうかん)がありますか?

また、お墓はどのような姿(すがた)をしていますか?

例(たと)えば、キリスト教(きょう)の国では上(うえ)の写真(しゃしん)のように墓石(ぼせき)に十字架(じゅうじか)を刻(きざ)んでいたり、十字架そのものが墓石の上にあったりしますよね。

日本では、こちらの写真のようなお墓が一般的(いっぱんてき)です。墓石の下(した)には、火葬(かそう)された故人(こじん)の遺骨(いこつ)が納(おさ)められています。

縦長(たてなが)の墓石に、「先祖(せんぞ)代々(だいだい)之(の)墓」や「〇〇家(け)之墓」と刻まれていたら、それは仏式(ぶっしき)のお墓です。

私は見(み)たことがありませんが、「〇〇家之奥津城(おくつき)」や「〇〇家之奥都城(おくつき)」と刻まれていたら、それは神式(しんしき)のお墓です。

しかし、日本人のほとんどが無宗教(むしゅうきょう)なので、最近(さいきん)は自由(じゆう)なスタイルの墓石が増(ふ)えています。お葬式や埋葬の方法(ほうほう)も、従来(じゅうらい)の仏式に囚(とら)われず、実(じつ)に多種多様(たしゅたよう)になりました。

因(ちな)みに、お寺(てら)には墓地(ぼち)がありますが、神社(じんじゃ)にはありません。神道(しんとう)において死(し)は穢(けが)れである為、境内(けいだい)で埋葬することができないからです。

お墓参りの作法(さほう)

お墓参りをする時(とき)は、まず合掌(がっしょう)してから墓石とその周囲(しゅうい)の清掃(せいそう)をします。掃除(そうじ)が終(お)わったら花(はな)立(た)てに菊(きく)などの仏花(ぶっか)を挿(さ)し、お菓子(かし)や飲(の)み物(もの)をお供(そな)えものとして墓石の前(まえ)に置(お)きます。

お花を添(そ)えるのは、厳(きび)しい自然(しぜん)環境(かんきょう)に耐(た)えて咲(さ)き誇(ほこ)った花のように、故人も厳しい修行(しゅぎょう)に耐えて極楽浄土へ行けますようにと願(ねが)ってのことです。

それから、お線香(せんこう)の束(たば)に火(ひ)を点(つ)けて供(そな)えます。「故人は香(かお)りを食(た)べるから」、また「お線香には心身(しんしん)や場(ば)を浄化(じょうか)する力(ちから)があるから」といった理由がある為です。

また、お線香の火(ひ)を消(け)す時は、息(いき)を吐(は)くのではなく必(かなら)ず手(て)で扇(あお)ぎます。何故なら、人間(にんげん)の吐息(といき)は穢(けが)れていると考えられているからです。

そして、柄杓(ひしゃく)で墓石に水(みず)をかけます。この行為(こうい)には、故人に自分(じぶん)の訪問(ほうもん)を知(し)らせるという役割(やくわり)の他(ほか)、墓石の浄化や、故人の喉(のど)を潤(うるお)すという目的(もくてき)もあります。

最後(さいご)に、墓石の正面(しょうめん)で目(め)を瞑(つぶ)って頭(あたま)を下(さ)げ、合掌します。心(こころ)の中(なか)で冥福(めいふく)を祈(いの)ったり、感謝(かんしゃ)を伝(つた)えたり、近況(きんきょう)報告(ほうこく)をしたりします。

これで、日本式のお墓参りは完了(かんりょう)となります。

墓地(ぼち)にはお墓、家(いえ)には「お仏壇(ぶつだん)」

私の両親(りょうしん)の実家(じっか)には、上の写真のような「仏壇」というものがあります。

仏壇とは、自宅(じたく)で故人を偲(しの)ぶ為の祭壇(さいだん)のことです。お墓には故人の肉体(にくたい)の魂(たましい)があり、仏壇には精神(せいしん)の魂が宿(やど)っていると考(かんが)えられています。

中央(ちゅうおう)にはそれぞれの宗派(しゅうは)における本尊(ほんぞん)があり、位牌(いはい)や花立て、香炉(こうろ)、燭台(しょくだい)、線香立ても置(お)かれています。

また、炊(た)いた白米(はくまい)を入(い)れる「仏飯器(ぶっぱんき)」やお水・お茶(ちゃ)を入れる為の「茶湯器(ちゃとうき)」、それらを運(はこ)ぶ「仏器膳(ぶっきぜん)」、お菓子などのお供え物を置く為の「高杯(たかつき)」というものもあります。

仏壇で故人にご挨拶(あいさつ)をする時は、まず燭台の蝋燭(ろうそく)に火を点けて、お線香の先端(せんたん)にその火を灯(とも)します。お線香から煙(けむり)が出(で)始(はじ)めたらそのまま線香差(さ)しに立(た)て、「りん」というお椀(わん)型(がた)の金属(きんぞく)を「りん棒(ぼう)」という専用(せんよう)の棒で叩(たた)いて音(おと)を鳴(な)らし、合掌します。

「りん」を鳴らすのは、その澄(す)んだ音で邪気(じゃき)を払(はら)ったり、その音に乗(の)せて供養(くよう)の気(き)持(も)ちを故人に届(とど)けたりする為です。

また、仏壇の蠟燭の火を消す時も、吐息ではなく手を使います。

因みに、私の母(はは)の実家は無宗教ですが、仏壇があります。本来(ほんらい)の仏壇と同(おな)じように仏像(ぶつぞう)や位牌(いはい)などがあり、そして周囲に故人の遺影(いえい)が飾(かざ)られています。

無宗教でも仏壇が使(つか)えるのは、日本には基本(きほん)的(てき)に宗教(しゅうきょう)的な縛(しば)りがあまりないことや、もともと神道による祖霊神(それいしん)信仰(しんこう)が根付(ねづ)いていたこと、そして故人のことを「仏(ほとけ)様(さま)」と呼(よ)ぶことが理由として挙(あ)げられます。

※「祖霊神信仰」についてはこちら:https://japaneselanguagesalonbymikapanda.com/what-is-shinto-vol-3-137

なぜ故人を仏様と呼ぶのか。それは、死者(ししゃ)の魂の最終(さいしゅう)目標(もくひょう)が「仏になること」だからです。

「仏になる」とは、つまり「悟(さと)りの境地(きょうち)に達(たっ)し、極楽浄土へ行(い)くこと」です。その為に死者(ししゃ)は何度(なんど)も輪廻(りんね)転生(てんせい)を繰(く)り返(かえ)し、悟るまで徳(とく)を積(つ)んで修行をするというのが、仏教の死生観(しせいかん)なのです。

日本の刑事(けいじ)ドラマなどで、亡(な)くなった被害者(ひがいしゃ)が「ホトケ」と呼ばれているのも同じ理由です。

春分は「牡丹餅(ぼたもち)」、秋分(しゅうぶん)は「御萩(おはぎ)」

最後に、お彼岸の代名詞(だいめいし)・「牡丹餅」と「御萩」についてご紹介(しょうかい)します。

「牡丹餅」と「御萩」は、餅(もち)をあんこで包(つつ)んだ和菓子(わがし)のことです。春分にお供えするものは「牡丹餅」、秋分の時は「御萩」と呼びますが、実は全(まった)く同じ物(もの)なのです。

【牡丹の花】

なぜ「牡丹餅」なのかと言うと、牡丹(ぼたん)という花が春(はる)に咲くから。なぜ「御萩」なのかと言うと、萩(はぎ)の花が秋(あき)に咲くからです。

【萩の花】

材料(ざいりょう)にも使(つか)われている理由があります。まず、あんこの素(もと)である小豆(あずき)は、魔(ま)除(よ)けの力があるから。餅は、五穀(ごこく)豊穣(ほうじょう)の象徴(しょうちょう)だからです。

甘(あま)いものが高価(こうか)だった時代(じだい)、牡丹餅や御萩はお祝(いわ)いの席(せき)や折々(おりおり)の行事(ぎょうじ)など、特別(とくべつ)な時にしか食べることのできない貴重(きちょう)なものでした。それが客人(きゃくじん)に対(たい)するものからご先祖(せんぞ)様へのお供え物となり、今日(こんにち)に至(いた)っています。

春分や秋分が近(ちか)づくと、和菓子屋(や)さんやスーパーなどで牡丹餅や御萩をよく見かけます。中には、あんこを餅で包み、きな粉(こ)を塗(まぶ)したものもあります。

機会(きかい)があったら、ぜひ試(ため)してみてください!

終(お)わりに

いかがでしたか?

今回(こんかい)は、春分や秋分の日にお墓参りをする理由、そして日本人の供養(くよう)のしかたについてお話ししました。

日本にはもともと神道という信仰があり、現在(げんざい)は無宗教が多数(たすう)派(は)とは言え、仏教思想の影響(えいきょう)を強(つよ)く受(う)けているということが分(わ)かりましたね。

もしかすると、あなたにもいつか日本でお墓参りをしたり、お仏壇でご挨拶をしたりすることがあるかもしれません。その時は、この記事(きじ)のことを思(おも)い出してくださいね!

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