月(つき)にはウサギがいる!? ~なぜお月見(つきみ)をするのか~

仏教(ぶっきょう): Buddhism

English article is here; https://japaneselanguagesalonbymikapanda.com/there-are-rabits-on-the-moon-why-japanese-do-moon-viewing-1017

こんにちは、ミカです!

今年(ことし)の9月(くがつ)29日(にじゅうくにち)は満月(まんげつ)の日、つまり「お月見の日(ひ)」です。

「お月見」とは、旧暦(きゅうれき)8月(はちがつ)15日(じゅうごにち)の「中秋(ちゅうしゅう)の名月(めいげつ)」という、一年(いちねん)で最(もっと)も美(うつく)しいと言(い)われている満月(まんげつ)を眺(なが)めることです。

「中秋」とは、旧暦で秋(あき)とされている7月(しちがつ)・8月・9月(くがつ)の三ヵ月(さんかげつ)間(かん)の真(ま)ん中(なか)という意味(いみ)です。

また、8月15日の夜(よる)なので、「十五夜(じゅうごや)の月」とも呼(よ)ばれています。

「中秋の名月」を眺める習慣(しゅうかん)は中国(ちゅうごく)から伝(つた)わり、日本では平安(へいあん)時代(じだい)に広(ひろ)まりました。

しかし、私たちはただ美しいというだけでお月見をするわけではありません!

そして、私たちは月で兎(うさぎ)が餅(もち)を搗(つ)いていると思(おも)っているのです!!

では、なぜ私たちはお月見をするのでしょうか? なぜ、兎が月で餅を搗いているのでしょうか?

今回(こんかい)は、そんなお月見と兎の謎(なぞ)を解明(かいめい)していきましょう!

「お月見」について

「お月見」の歴史(れきし)

まず、平安時代の頃(ころ)のお月見は、貴族(きぞく)たちのものでした。

楽器(がっき)を奏(かな)でたり、和歌(わか)を詠(よ)んだり、お酒(さけ)を飲(の)んだりして優雅(ゆうが)に楽(たの)しんでいたようです。

お月見の習慣が庶民(しょみん)に広まったのは江戸(えど)時代でした。この頃になると、秋は収穫(しゅうかく)の季節(きせつ)なので、月と農耕(のうこう)の神(かみ)・「月読尊(つくよみのみこと)」に感謝(かんしゃ)するための行事(ぎょうじ)となっていきました。

*「月読尊」についてはこちらのページをご覧(らん)ください。

そして、感謝の気持(きも)ちを伝えるために、様々(さまざま)なお供(そな)え物(もの)をするようになりました。

「お月見」のお供(そな)え物(もの)

月見団子(だんご)

まずは、お月見の代名詞(だいめいし)でもある「月見団子」をご紹介(しょうかい)します。

なぜ団子なのかと言うと、団子は丸(まる)い形(かたち)をしていて、月に似(に)ているからです。

月にお供えしてから食(た)べると、月読尊から健康(けんこう)と幸(しあわ)せの力(ちから)を授(さず)かることができます。

ススキ

本当(ほんとう)は稲穂(いなほ)をお供えしたいのですが、稲(いね)を刈(か)るには少(すこ)し早(はや)いので、代(か)わりに稲穂と似ているススキをお供えするようになりました。

ですが、ススキには魔除(まよ)けの力があり、翌年(よくねん)の豊作(ほうさく)を願(ねが)う民(たみ)の気持ちも託(たく)されています。

収穫物(しゅうかくぶつ)

秋が旬(しゅん)の収穫物は、本当(ほんとう)にたくさんあります!

芋(いも)、栗(くり)、柿(かき)、きのこ、梨(なし)、葡萄(ぶどう)……そして忘(わす)れてはならないのがお米(こめ)です!

収穫を感謝するために、このような野菜(やさい)や果物(くだもの)をお供えします。

十五夜の季節は特(とく)に芋がよく採(と)れるので、中秋の名月には「芋名月(いもめいげつ)」という別名(べつめい)もあります。

なぜ月でウサギが餅(もち)を搗(つ)いているの?

 

次(つぎ)は、月で兎が餅を搗いている謎についてお話(はな)しします。

その前(まえ)に……皆(みな)さんの国(くに)では、月のクレーターの模様(もよう)が何(なに)に見(み)えていますか?

女性(じょせい)の横顔(よこがお)だったり、蟹(かに)だったりと、国や地域(ちいき)によって全(まった)く違(ちが)いますよね。中国では兎は月で不老不死(ふろうふし)の薬(くすり)を作(つく)っているように見えるそうですが、我々(われわれ)日本人には餅を搗いているように見えています。

実(じつ)は、そうなったことにはある伝説(でんせつ)が関係(かんけい)しているのです。

仏教(ぶっきょう)における兎の伝説(でんせつ)

昔々(むかしむかし)、インドの天竺(てんじく)というところで、お腹(なか)を空(す)かせたお爺(じい)さんが倒(たお)れていました。

そんなお爺さんを見つけた猿(さる)は柿を、狐(きつね)は魚(さかな)を取(と)って来(き)て、お爺さんにあげました。しかし、兎だけは、どんなに頑張(がんば)っても食(た)べ物(もの)を見つけることができませんでした。

ある日、兎は「私を食べてください」と言ってとうとう自(みずか)ら焚火(たきび)の中(なか)に飛(と)び込(こ)んでしまったのです。

実は、お爺さんは仏教の神様・帝釈天(たいしゃくてん)でした。帝釈天は兎の気持ちと行動(こうどう)に感激(かんげき)し、その出来事(できごと)を後世(こうせい)に伝えるために兎の姿(すがた)を月に描(えが)きました。これが、「ジャータカ神話(しんわ)」における仏教の兎の伝説です。

*「ジャータカ神話」とは、ブッダの前世(ぜんせ)の物語(ものがたり)のことです。

なぜ薬(くすり)から餅になったの?

 

この伝説は、インドから中国を経(へ)て日本に伝わっていますから、当然(とうぜん)中国でも知(し)られています。しかし、中国の人々(ひとびと)は「月の兎は薬を作っている」と信(しん)じています。なぜでしょうか?

それは、不老不死の薬を持(も)つ古代(こだい)中国における西方(せいほう)の女神(めがみ)・西王母(せいおうぼ)の下(もと)で兎が家来(けらい)として働(はたら)いていたからです。そのことと「ジャータカ神話」の兎の伝説が合(あ)わさって、「兎は月で薬を作っている」と考(かんが)えたのでしょう。

では、なぜ日本人は「兎は月で餅を搗いている」と考えているのでしょうか?

それは諸説(しょせつ)ありますが、

①今(いま)でも帝釈天のために餅を搗き続(つづ)けているから

②食べ物(もの)に困(こま)らないようにするため

③「満月(まんげつ)」の別名「望月(もちづき)」が由来(ゆらい)となっているから

などが挙(あ)げられます。

終(お)わりに

いかがでしたか?

旧暦(きゅうれき)が基準(きじゅん)なので、中秋(ちゅうしゅう)の名月(めいげつ)の日(ひ)は毎年(まいとし)異(こと)なります。とにかく、9月(くがつ)の満月の日がお月見の日だと覚(おぼ)えておいてください!

また、十五夜だけではなく、旧暦9月13日(じゅうさんにち)の「十三夜(じゅうさんや)」と呼(よ)ばれる月も見ると縁起(えんぎ)が良(い)いとされています。十三夜の月は少(すこ)し欠(か)けていますが、「不完全(ふかんぜん)なものこそ美(うつく)しい」とする日本人の美意識(びいしき)らしい考(かんが)え方(かた)故(ゆえ)ですね。

今年(ことし)の十五夜と十三夜はもう過(す)ぎてしまったので、来年(らいねん)はぜひ「お月見」を楽しんでください!

追伸(ついしん):「美少女(びしょうじょ)戦士(せんし)セーラームーン」の主人公(しゅじんこう)の名前(なまえ)が「月野(つきの)うさぎ」なのは、「月に兎がいる」と思われているからです。

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