English article is here; https://japaneselanguagesalonbymikapanda.com/the-communication-not-to-say-anything-3-in-english-547
はじめに
こんにちは、ミカです!
今回(こんかい)は、「言わないコミュニケーション」シリーズの最終回(さいしゅうかい)となります。
テーマは、「遜り、そのまま言わない日本人」。主(おも)に、ビジネスの場(ば)で活(い)かされるコミュニケーションの作法(さほう)についてお話(はな)ししたいと思(おも)います。
特(とく)に、将来(しょうらい)日本の会社(かいしゃ)で働(はたら)きたいと考(かんが)えている方(かた)は、必見(ひっけん)です!
「遜る」とは?
「目上(めうえ)の人(ひと)」へ敬意(けいい)を払(はら)うこと
「遜る」、もしくは「謙遜(けんそん)する」とは、「目上(めうえ)の人(ひと)に対(たい)して敬意(けいい)を払(はら)い、自分(じぶん)の立場(たちば)を下(さ)げる」という意味(いみ)です。
「目上の人」とは、会社では上司(じょうし)や先輩(せんぱい)、学校(がっこう)では先生(せんせい)や先輩(せんぱい)のことです。
つまり、自分を指導(しどう)する立場(たちば)にある人(ひと)や、自分より先(さき)にそのコミュニティに属(ぞく)している人のことなんですね。
敬語(けいご)をもう勉強(べんきょう)した方やちょうど勉強し始(はじ)めた方は、「目上の人」という表現(ひょうげん)にウンザリしているのではないでしょうか?
なぜ、「目上の人」とやらに敬意を払わなければならないのか? なぜ、相手(あいて)が年上(としうえ)というだけで、先輩だというだけで自分が遜らなければならないのか? 人間(にんげん)は全(すべ)て平等(びょうどう)ではないのか――と、思(おも)われるのも無理(むり)はありません。
では、なぜ日本語には「敬語」や目上・目下という考え方があるのでしょうか?
それは、古代(こだい)中国(ちゅうごく)から伝(つた)わった「儒教思想(じゅきょうしそう)」の影響(えいきょう)を強(つよ)く受(う)けているからです!
「遜る」は「儒教(じゅきょう)」の教(おし)え
【湯島(ゆしま)聖堂(せいどう)・孔子(こうし)像(ぞう)】
「儒教」とは、紀元前(きげんぜん)6世紀(ろくせいき)の古代中国の思想家(しそうか)・孔子によって生(う)み出(だ)されたものです。孔子の教えをまとめた教典(きょうてん)は、「論語(ろんご)」と言います。
儒教思想は、中国のみならず現在(げんざい)の日本(にほん)や韓国(かんこく)社会(しゃかい)にも根強(ねづよ)く浸透(しんとう)しているので、東(ひがし)アジアについて知(し)るためには必要不可欠(ひつようふかけつ)な要素(ようそ)となります。
儒教とは、簡単(かんたん)に言(い)うと、道徳(どうとく)教育(きょういく)の指針(ししん)として語り継がれてきたものになります。その中(なか)には、「五常(ごじょう)」という徳目(とくもく)があります。
一(ひと)つ目(め)は、「人を愛(あい)し、思(おも)いやりなさい」。
二(ふた)つ目は、「世(よ)のため人のために行動(こうどう)しなさい」。
三(みっ)つ目は、「幅広(はばひろ)い知識(ちしき)を得(え)て善悪(ぜんあく)の判断(はんだん)ができるようになりなさい」。
四(よっ)つ目は、「信頼(しんらい)されるため、嘘(うそ)をつかず、誠実(せいじつ)でありなさい」。
そして最後(さいご)に、「謙遜し、相手を敬(うやま)いなさい」という教えがあります。
特に、親(おや)や年上の人、老人(ろうじん)を敬(うやま)うべきだと解釈(かいしゃく)されており、そのために「敬語」が成立(せいりつ)したと考えられています。
「敬語(けいご)」は無償(むしょう)の「オシャレ」
さて、皆(みな)さんは、「敬語」が好(す)きですか? または、得意(とくい)ですか?
恐(おそ)らく、多(おお)くの方が”NO!!!”と答(こた)えると思(おも)います(^^;)
しかし、儒教によって上下(じょうげ)関係(かんけい)を重視(じゅうし)するようになった日本社会、特にビジネスの場(ば)では、敬語は必要(ひつよう)不可欠なものなのです!
確(たし)かに敬語は厄介(やっかい)で、日本人ですら間違(まちが)えることが多々(たた)あります。でも、少(すこ)しだけ、敬語のことを前向(まえむ)きに考えてみませんか?
例(たと)えば、敬語は「無償でできるオシャレ」だと発想(はっそう)を変(か)えることができます。これは、「メイプル超合金(ちょうごうきん)」というお笑(わら)いコンビの芸人(げいにん)・カズレーザーさんの言葉(ことば)で、多くの人が感銘(かんめい)を受(う)けました。
私も、本当(ほんとう)にその通(とお)りだと思いました。なぜなら、敬語は基本的(きほんてき)に美(うつく)しいものだからです。
その上(うえ)、敬語を使(つか)いこなせていると立派(りっぱ)な人物(じんぶつ)に見(み)えますし、たくさんの人から信頼されやすくなりますから、いいことばかりです!
遜り、思(おも)いやる「クッション言葉(ことば)」
「クッション言葉」とは?
さて、ここからが本題(ほんだい)です!
相手を敬ったり、自分が遜ったりするのが「敬語」ですが、それ以外(いがい)にも遜るためのコミュニケーションの作法があるのです。
それは、「クッション言葉」と言います!
クッションは、柔(やわ)らかくて心地(ここち)よく、衝撃(しょうげき)を和(やわ)らげてくれますよね?
そんなクッションのように、相手が言葉によって受(う)け取(と)るダメージを軽減(けいげん)するための表現方法(ほうほう)のことを、「クッション言葉」と言います。
以前(いぜん)、「言(い)わない」コミュニケーション① ~間接的(かんせつてき)に伝(つた)える日本人~という記事(きじ)で、日本人は直接的(ちょくせつてき)な表現を嫌(きら)うということをお話(はな)ししました。
それは、ビジネスの場でも同(おな)じ。「できるだけ早(はや)く返事(へんじ)してください」や「よくわからないからちゃんと説明してください」といったことをそのまま直接的な表現で伝えてしまうと、相手が日本人の場合(ばあい)、あなたに良(よ)い印象(いんしょう)を抱(いだ)くことは決(けっ)してないでしょう。
ですから、例(たと)え使(つか)う言語(げんご)が日本語でなかったとしても、相手が日本人であれば、「クッション言葉」を使って間接的な言い方をした方がより円滑(えんかつ)なコミュニケーションができるようになり、信頼関係(かんけい)も強(つよ)くなると思います。
使う場面(ばめん)
では、どんな時(とき)にクッション言葉を使うのでしょうか?
クッション言葉は、目上の人はもちろん、顧客(こきゃく)や取引先(とりひきさき)の人に対(たい)しても使われます。
そして、コミュニケーションの作法ですから、直接(ちょくせつ)話(はな)す時だけではなく、電話(でんわ)やメールで対応(たいおう)する時も大活躍(だいかつやく)します。
依頼(いらい)する時
では、まず初(はじ)めに、相手に何(なに)かを頼(たの)む場合のクッション言葉を紹介(しょうかい)します。
この時、「よろしくお願(ねが)いいたします」だけでは不十分(ふじゅうぶん)かもしれませんので、
「お忙(いそが)しいところ申(もう)し訳(わけ)ございませんが」
「お忙しい中(なか)恐(おそ)れ入(い)りますが」
というフレーズを添(そ)えて、「忙しいのに更(さら)にお願いをしてしまってごめんなさい」という謝罪(しゃざい)の気持(きも)ちを伝えれば、相手の機嫌(きげん)を損(そこ)なうことはないでしょう。
「恐れ入りますが」の代(か)わりに、「恐縮(きょうしゅく)ですが」と言うこともできます。
また、「お手数(てすう)ですが」や「お手数お掛(か)けいたしますが」もお勧(すす)めです。これらは、「あなたに負担(ふたん)を掛けてしまいますが」という意味(いみ)です。
そして、「お願いいたします」の前(まえ)に「何卒(なにとぞ)」を置(お)いて「何卒よろしくお願いいたします」と言うと、更に丁寧(ていねい)になります。
尋(たず)ねたり、提案(ていあん)したりする時
次(つぎ)に、相手に何かを尋ねたり提案したりする場合です。
もしかすると、その質問(しつもん)や申(もう)し出(で)が相手を不愉快(ふゆかい)にさせてしまうかもしれないので、慎重(しんちょう)な姿勢(しせい)を表(あらわ)すためにも、クッション言葉を使った方がいいでしょう。
例えば、「差(さ)し支(つか)えなければ、お名前(なまえ)をお伺(うかが)いしてもよろしいでしょうか?」の「差し支えなければ」がそれに該当(がいとう)します。「もし問題(もんだい)がなければ」という意味です。
また、「もしよろしければ」も質問や申し出のクッション言葉として挙(あ)げられます。
断(ことわ)る時
今度(こんど)は、相手の誘(さそ)いを断ったり、提案を却下(きゃっか)したりする場合です。
「NOと言えない日本人」というフレーズがあるぐらい日本人は直接NOと言うのが苦手(にがて)ですが、間接的にはきちんとNOと伝えているのです。更に、その言葉にクッション言葉を添えて相手の気分(きぶん)を害(がい)さないよう、最大限(さいだいげん)の努力(どりょく)をしています。
例えば、「申し訳ございませんが」「残念(ざんねん)ですが」「せっかくのお誘(さそ)い/ご提案(ていあん)ですが」「誠(まこと)に申(もう)し上(あ)げにくいのですが」などが断り文句(もんく)のクッション言葉に当(あ)たります。
とにかく、謝罪の気持ちを一生懸命(いっしょうけんめい)伝えようとするんですね。
反論(はんろん)する時
最後(さいご)に、反論する場合です。
日本人は、反論するのもあまり得意(とくい)ではありません。しかし、どうしてもその必要がある時は、相手を不機嫌(ふきげん)にさせないようにクッション言葉を使って伝えます。
例えば、「確(たし)かにそうかもしれません。しかしながら……」のように、相手の意見(いけん)をまず尊重(そんちょう)し、それから自分の意見を述(の)べる人が多いですね。
この場合、「確かにそのような意見もあります」も使うことができます。
他(ほか)にも、「大変(たいへん)申し上げ難(にく)いのですが」「お言葉を返(かえ)すようですが」「差し出(で)がましいようですが」といったものがあります。
終(お)わりに
いかがでしたか?
今回は、特にビジネスの場で役(やく)に立(た)つコミュニケーションの知識(ちしき)をご紹介しました。
ですが、ビジネスの場だけではなく、友達(ともだち)や家族(かぞく)、恋人(こいびと)に対しても「忙しいのにごめんね」といった相手を気遣(きづか)うためのクッション言葉が使えると更にいいですね!
日本人のコミュニケーションはかなり独特(どくとく)だと思いますが、飽(あ)くまで知識として知(し)って頂(いただ)けたら嬉(うれ)しいです(*^▽^*)♪
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